- 日本酒と四季
日本には、それぞれの季節ならではの日本酒の楽しみ方があります。酒宴、歳時に合わせたお酒を選んで、贅沢なひと時を味わってはいかがでしょうか。
<春>
<夏>
<秋>
<冬>
| 酒宴 | もともとお酒は御神酒というように、神にまつられたもので、やがて祭りのような儀式で、人々に飲まれるようになりました。祭りというハレの場で、日常の労働や束縛から解放されて日本酒を飲むことで、特別の日を祝うとともに、また新たな明日への活力を生み出すようになっていったのです。そもそも、この祭りが酒宴のルーツです。 |
|---|---|
| 節会 | 節宴ともいい、節日に天皇が主人役となって酒宴を行う神事でした。これには大儀、中儀、小儀の三種類があり、元旦、端午の節句、重陽の節句など、いまでもその習慣は数多く残っています。 |
| 契りの酒 | なにかの約束事をするときに、人々は契りの酒、手締めの酒を酌み交わし、暗黙の内に契約を取り交わしたことにしました。 「結納の酒」などはその最たるもの。 |
| 三三九度 | 昔は大盃をみんなで回し飲みしました。三つの盃は、天地人を意味し、三はおめでたい陽数、九はその最高の数字で、おめでたいことの頂点を意味します。 その盃が一巡することを一献といい、三つ組の盃が一巡すれば三献、これを三度繰り返すのが三三九度というわけです。この飲酒習慣が、契りの酒として、今の結婚式に受け継がれています。 |
| つきあい酒 | 神事の後、神様に捧げたお酒や供物をみんなで一緒に飲食し、お互いの健康を祈り、連帯を誓いました。今日、私たちは何かにつけて「打ち上げ」と称して飲む機会を設けますが、これなどは、その代表格。仕事の成就を祝うとともに、新たな目標に向けて一致団結する、とても有意義な習慣です。 |
| 桃花酒 | 「桃の節句」には甘い白い酒も飲みますが、本格的には「桃花酒」を飲みます。古代中国の故事に、水に流れている桃の花を汲んで飲んでみたところ、気力が充実して三百歳まで長生きしたとあります。 |
| 曲水の宴 | 中国から伝わってきた行事で、奈良・平安時代に、三月三日の「桃の日」または三月上巴の日に、朝廷や公家などの間で行われた年中行事の一つです。 流れる水のほとりに座り、上流から杯を流してその杯が自分の前を流れすぎないうちに、詩を作りながら杯をとってお酒を飲み、そして杯をさらに下へ流すという、なんとも風雅な宴遊の会でありました。本家中国では、紀元前306年に行われたとありますから、とても由緒ある遊びです。 |
| 花見酒 | 奈良・平安の頃から行われていた桜の花見。 日本列島はいよいよ春本番を告げます。有名なものに、太閤秀吉の豪華絢爛な「醍醐の花見」がありました。江戸の頃は、小金井、御殿場、上野、向島が庶民のための花見場所として公開されました。 娯楽の少なかった時代ですから、花見は庶民の最大のレクエ―ション場となり、賑わいました。 |
| 入社式・新年度 | 春爛漫に迎える新年度。新たなスタートを祝して乾杯です。 新入社員歓迎会では、新人は先輩のお酒を見習うといいますから、諸先輩はくれぐれもスマートなお酒で歓迎いたしましょう。 |
| 菖蒲酒 | 「目には青葉・・・」の爽やかな季節。5月5日の端午の節句に菖蒲湯とはご存じの通りですが、「菖蒲酒」はいかがでしょう。 燗をしたお酒の中に菖蒲の茎を浸して味わうもので、これを飲めば邪気払いになるといわれる五月にふさわしい香りの高いお酒です。 |
<夏>
| 初呑切り | ひと春を蔵で過ごしたお酒の品質を検査し、成分を分析するのが、「呑切り」です。 タンクの呑口を開けることから「呑切り」といい、最初の「初呑切り」を6月頃に行います。その後毎月一回の呑切りを経て、もっとも飲み頃になる秋に、日本酒はいよいよ新酒として出荷されます。 |
|---|---|
| 夏越しの酒 | 6月に、半年間の汚れを流す意味から飲むお酒です。 この時期は田植えも終わり、ほっとひと息入れる時期。一緒に働いた牛や馬にもみそぎをさせて、そしてこれからの暑い夏を乗り越えるために祈りながら飲む、暑気払いのお酒でした。 |
| 鰻酒 | 鰻の蒲焼きを温めたドンブリにとり、熱燗をたっぷりと注ぎ、五分くらい蓋をしてからこれを飲みます。そして後に鰻も食べるという、なんともスタミナのつきそうなお酒です。 |
| 冷やづくし | 「冷や」といえば常温を意味し、「冷酒」というのは冷蔵庫で冷やしたり、氷を入れたものを意味します。そして冷やす表現は、雪冷え(5度)、花冷え(10度)、涼冷え(15度)などといって区別します。 極めつけは、カン・ロック。 薄手のグラスに氷片を入れ、やや熱めに燗した日本酒をひと口少々で飲み切れる量を注ぎます。 カラカラとグラスを振って瞬間的に冷えたところをクイッといただきます。さらには冷蔵庫で凍らせておいたシャーベット酒なども、暑い夏こそ飲んでみたいものです。 |
| 冷や奴 | 冷酒とくれば、冷や奴。
これもまた日本の夏の定番です。 豆腐は「畑の牛肉」ともいわれる良質な蛋白質食品。冷やして良し、温めて良しとは、まさに日本酒にぴったりの酒の肴の優等生。 「豆腐百珍」にもあるように、豆腐料理は昔から非常に沢山あり、庶民の味として親しまれてきました。 |
<秋>
| 月見酒 | 中秋の名月といえば、旧歴の8月15日。 団子15コと実りの初物を揃えて、さらにススキの穂など秋の七草を月に供える。 そして満月の光を浴びながら酒を飲み交わします。 夜露のついたものを食べると長生きするという伝説があるため、必ず野外で行います。 月を見ながら、季節の変わり目をしみじみと味わうお酒です。 |
|---|---|
| 日本酒の日 | 十二支の十番目、酉の月の「酉」の字は、もともと壷を表す象形文字で、お酒を表しました。 古代1年の始まりは冬至とされていました。またこの頃から新米が収穫され酒造りが始められることから、十月はお酒の月、十月一日が日本酒の日となりました。 |
| 重陽の節句 | 旧歴の9月9日は9というもっとも大きな奇数の陽の数字が重なることから「重陽の節句」といわれます。この日、長生きの効果のあるという「菊の花の酒」を飲む宴をはり、長寿を願い、災難を払うおまじないを行います。 この日を境に翌年の三月三日の「桃の節句」まで、日本酒はお燗にして楽しむものが正式です。 |
| 熱燗・暖酒 | お燗は、百度と零度の間だからカンとか、冷と熱の間だからなどの説があります。 30度前後の日向燗 35度くらいの人肌燗 40度前後のぬる燗 45度前後の上燗 50度前後の熱燗 55度以上のとびきり燗とは燗づくし。 お酒を暖めて飲むこのスタイル、なんとも心をなごませ、ほっとさせてくれる、日本酒ならではの楽しみです。 |
| 冷やおろし | 冬から春にかけて造られた新酒が蔵の中で静かに息づき、夏を経て熟成した味わいとなって出荷されるのが「冷やおろし」です。 酒蔵は夏でもかなり涼しく、保存されているお酒は、真夏でもさほど温度はあがりません。それが外気も冷えて酒の温度と同じくらいになった頃、気温による酒質の変化がないとして「火入れ」をせずに出荷されたものです。 |
| 鍋と日本酒 | 旬の日本列島、土地の数だけ自慢の鍋料理があるくらい、鍋は秋から冬の風物詩。 熱燗と一緒に楽しめば心身ともに暖まります。 鍋料理は栄養のバランスが良い上にカロリーが少ない健康料理。お鍋に、少量の日本酒を加えると、味の方もグンとアップしますから、お試しください。 |
<冬>
| 除夜の酒 | 文字通り除夜除夜の鐘を聞きながら、一年を振り返るとともに、新年の誓いを新たにする「しめのお酒」です。おそばをツマミに、しみじみと日本人を実感したいものです。 |
|---|---|
| 屠蘇(とそ)・年酒 | 年頭に一家そろってお祝いするお屠蘇は、もともと「蘇」という悪鬼を「屠る」という意味で、十種に近い薬草を浸した酒を飲むという中国の風習をまねたものです。 日本では平安初期に宮中で行われ、やがて民間に広まりました。味淋に屠蘇散を浸すようになったのは明治になってからで、もともとはお酒を用いました。 年賀の客には、初献に屠蘇を供し、後は酒にするのが正式です。 こうして年始の客にすすめる酒を「年酒」といいます。 |
| 新年宴会 | 年の始めにトシの神(正月様)を迎え、悪魔を払って新年を祝うという新年宴会。 トシの神とは、お米の神様、お酒とは切っても切れない関係でした。戦前は1月5日は国民の祝日で、国を挙げて新年のお祝いをしました。 この時に飲むお酒は、一年の計を定める「祈願のお酒」。 厳粛にいただくとしましょう。 |
| 鏡開き | 鏡開きは、祭壇にまつった鏡餅を、御神酒と一緒に祝って食べる行事です。「餅を切る」とは縁起が悪いので、その言葉の代わりに「開く」を使います。蔵元では蔵開きといって、新年に初めて蔵を開くのを祝う習慣もあります。 転じて、おめでたい席で「日本酒の鏡開き」が行われます。酒樽のふたが丸くて平らなことから鏡と呼ばれます。樽酒は、杉の香りが楽しめますが、同じ樽から酌み交わすその仕草が、友情や親愛を深めます。 |
| 祝・成人の日 | 晴れて大人の仲間入り、日本酒解禁です。 武家の元服式から始まったこの儀式は、日本酒を飲んで祝うのが正式です。 ところで「お酒は二十歳になってから」は、身体の為にも精神の為にも科学的に根拠のあることで、未成年の飲酒は、絶対にしてはなりません。 |
| 雪見酒 | なんとも風流なこの習慣は、平安の頃、あの紫式部も行っていたといわれます。当時は雪の中を、わざわざ牛車を仕立てて野山に出かけたり、江戸の頃には船を出して雪を楽しんだともいいます。 降り積もった雪をコップにギュッと詰め、その上からお酒を注ぐ「雪割り酒」という飲み方があります。 |
| ひれ酒 | 乾燥させたフグのヒレを焦げ気味にあぶって熱燗に注いだものです。その何ともいえない香りは、まさに粋人ならずとも冬の味覚として愛飲されています。同様の変わり酒に、「カニの甲羅酒」、「骨酒」など。 いずれも寒い季節に燗酒を楽しむおつな習慣です。 |
